今日の夕方、ご近所の総菜屋さんにいくと蚊取り線香の香りが漂っていました。
「いらっしゃい、今日は何にしましょう。」
「そうですね、サケの切り身を1枚と焼売を5つ。」
蚊取り線香か。
そういえば、普段は香取取り線香って最近つかわないですね。部屋を閉め切ってクーラーをかけることが多くなっているので、室内では使わなくなったのですね。
その総菜やさんは扉を開け放したままで商売をしていますので、蚊取り線香が今でも必須なのでしょう。
渦巻き型の、緑色をした蚊取り線香は、どこか昔懐かしい、ノスタルジーに浸る香りです。
私が小学生だったころ、そう今から30年以上前、よく両親の里帰りで夏休みには福岡に帰省していました。福岡といっても都心部ではなくて少し離れた場所にありました。
電化されていないディーゼル車の車窓から外を眺めていると、次第にのどかな田園風景が広がります。夏休みに帰省することがほとんどだったので、私の中では祖父母の家にいく季節は夏休みときまっていました。
青々とした田んぼ。
そのあぜ道を通りながら、遊んでいた日々。
へとへとになるまで遊んで帰ってきてから、祖父母の家に戻ると蚊取り線香の香りがします。
「おばあちゃん、アイス!」
普段はおやつの時間以外にアイスは食べさせてもらえませんでしたが、祖父母の家にいるときは特別です。一日2本食べても大丈夫です。
私は、九州でしか販売されていないブラックモンブラン(竹下製菓)を食べるのが楽しみで仕方ありませんでした(今はどこでも通販で買えます)。クランチチョコレートでコーティングされたアイスの味はさることながら、食べ終わると出てくるアイス棒の当たり券がでるのが楽しみだったのです。
皆でにぎやかに食卓を囲み、スイカをわってたべる、花火を楽しむなど、夏の思い出には蚊取り線香がありました。
夜寝るときは天井から長ーくぶら下がった電球を消して、オレンジの豆球をつけてせんべい布団のうえにゴザをひいて寝たものです。
かけがえのない思い出がすこしずつ思い出されます。
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「はい、シャケと焼売ね。お兄さん、ほかには?」
「あ、これでいいです。」
何もしらず無邪気に遊んでいた、懐かしいあのころ。遠い記憶の日々は帰ってきませんが、しばし、ノスタルジーに浸ってしまいました。
ヴィラ平和島のお香はアジアンな雰囲気を感じてもらえればと、ココナツのお香を焚いています。私もココナツの香りにつつまれると、リラクゼーションサロンのイメージが思い浮かぶようになってきました。
香りというのは人間の記憶に結び付いていることを思い出した夕方の買い物のひと時でした。