リラクゼーションサロンを経営していると、「どうやって売上を上げよう」「セラピストが長く働いてくれるにはどうしたらいいか」そんな悩みが尽きませんよね。
多くのサロンでは、業務委託契約が一般的かもしれませんが、実はセラピストと雇用関係を結ぶことで使える“助成金”という選択肢があるのです。
セラピストから見ると雇用形態での勤務というのは、安定しています。じっくりと腰を落ち着けて働きたいと考えているセラピストさんにとっては魅力がある制度です。
その分店舗側はいろいろなルールを守り、費用をはらって制度をつくっていくことがもとめられます。
助成金は厚労省の制度。雇用保険をかけていれば対象になるものも多い
助成金は、厚生労働省が用意している支援制度で、雇用保険の適用事業所であれば、条件を満たせば受給できるものが多く存在します。
代表的なものだと「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」など、従業員の雇用やスキルアップを支援する内容が多く、サロンにとってもメリットがあります。
面倒くさい…けど、やる価値は十分にある
正直に言うと、助成金の申請はとっつきにくいし、面倒です。最初に手引きをみたら、10人中10人が日本語で書いてあるのか?とおもうぐらいとっつきにくいです。助成金の申請については正確な情報を提供することが求められているため、お役所の文章がわかりにくくなっているんですね。
おまけに助成金は、補助金のように数百万円単位ではない場合も多く、「こんな手間かけて数十万か…」と思ってしまうかもしれません。
でも、例えば10万円の助成金を受け取れたとしたら?
サロンの営業利益率は20%ぐらいですから、営業利益率で考えると、50万〜100万円の売上に相当します。50万円×0.2=10万円です。
これって、相当大きいと思いませんか?50万円といえば、一カ月のセラピストが身体を目いっぱいつかって働いて稼いでくれるお金です。
一度やれば、仕組みがわかる。あとは繰り返すだけ
最初はわからないことだらけでも、一度助成金を申請してみると、流れや書類の整え方が分かってきます。実は助成金はリピーターが多いのです。最初はむずかしくても、「こういうタイミングでこういう書類を揃えればいいんだな」と知ることで、次からはスムーズに動けるようになります。
最終的にもらえるまでに1年以上かかるものもあるので計画をたてて書類を準備する必要がありますし、そもそも労働環境が整っていないともらえません。36協定は出しているかとか、休憩時間はとられているかとか、就業規則は作られているかなど、助成金をもらおうと思うと自然とクリーンな職場になっていきます(それこそが助成金の目的なのですが)。
どうしても無理そうなら、社労士の力を借りよう
助成金の制度は毎年変わりますし、細かな条件を満たさなければ不支給になることもあります。私も過去のブログで書いていましたが、条件を満たすことができずに一生懸命作った資料がすべてパーになってしまったことがありました。
条件をみたす研修でないと、手続き・申請を間違えると、もらえないものなのです。
その他にもやってみないとわからないことが多いです。「これは自分でやるのは限界かも」と感じたら、社会保険労務士(社労士)に依頼するのも手。プロに任せることで、手間を減らし、確実性を高めることができます。
大体10-20%くらいの手数料でやってくれる社労士事務所が多いのではないでしょうか。
でも実は、裏技?があります。
ハローワークや労働局、助成金コールセンターに質問すると、すごく丁寧に教えてくれるんです。自分でチャレンジしたい方は、まずはそこから始めてみるのもおすすめです。
ただ、お役所は縦割組織なので、自分の取り扱っている助成金のことは詳しいけれどそれ以外のことは全く分からないということになります。いろいろなところに電話をかけたりする必要もあります。
その他に東京都が独自に出している補助金や助成金もあったりして、また窓口が異なります。その手続きは煩雑そのもので心が折れそうになります。そのたびに私は「もらえるお金の5倍の売上を上げると思ったら大したことない」と心に言い聞かせて頑張っています(笑)
最低賃金が上がる今、助成金を使えるかは経営の分かれ道
ここ数年、最低賃金は上がり続けています。人件費の負担が増す中で、助成金をうまく活用できるかどうかは、サロン経営に大きな影響を与えます。
もらっている事務所は毎年100万~200万円くらいはもらっているのではないでしょうか。売上に直すと、500万円~1000万円くらいのインパクトのある仕事をしているのと同じです。セラピストが一人働いて得られる利益を助成金で獲得するというイメージでしょうか。
セラピストは、腕一本でお金を稼ぐプロ。
そしてオーナーである私は、“もらえるものはしっかりもらう”ために、手を動かすことが大事なんです。
本当に細かい事務仕事ですが、できているかどうかで経営に差がついてきますし、申請しているうちに慣れてきます。
働きやすい環境づくりにもつながる
助成金の多くは、労働環境の整備やスキルアップ支援とセットになっています。つまり、申請する過程で自然と「働きやすい職場」を整えることになり、離職率の低下やスタッフの定着にもつながります。
小さいサロンにとって毎月5万~10万円が入ってくるかどうかというのは大きな違いです。それをうまく福利厚生や研修費用として使えば、働きやすい環境ができてきます。
最後に
助成金はルールにしたがって申請すればもらえるお金ですから(申請の取組みから受給まで1年以上かかりますが)、経営者としての“手間”を惜しまないことが、サロンの未来を明るくします。
目の前のお客様とスタッフを大切にしながら、こうした制度もうまく使って、持続可能で愛されるサロンづくりをしてまいります。