フランチャイズでビジネスを始めることにメリット・デメリットがありますが、最近では加盟してすぐにはわからなかったメリットを感じるようになっています。
ビジネスモデルが立ち上がりやすいのは経営初心者にはメリット
だんだん開業当時の苦労も薄れつつありますが(ヴィラ平和島開業物語をご覧ください)、とにかく準備することが多かったのが開業前後でした。場所の選定から、セラピストの募集、備品購入など、やることがとにかく多かったのを思い出します。短期集中で一気にやらないととてもじゃないですができる仕事量ではありませんでした。
それでも、独立起業した場合は売上が立つかどうかわからないものです。様々な要素がかみ合ってビジネスの成功・不成功は決まりますが、独立起業の場合にはフランチャイズのような出店時のサポートがない分、立地などで失敗してしまう可能性があります。
フランチャイズでは直営店、また他のフランチャイズ加盟店で成果が出ているビジネスモデルを忠実に真似することで一定の売上がでます。
売上が事業を続けるレベルに到達しやすいのはメリット
最近感じているのは、事業を始めるためのひな型があり、着実に売上が立って、事業を継続できるレベルに到達できるというのは経営初心者にとって大きなメリットだということです。起業でつまづくのはとにかく売り上げがたたないということです。
もちろんフランチャイズだからと言って売上が確保されているわけではありません。それでも上手くいっているオーナーさんが多いのですから基本的には真似をしながら進めていけば勝つ確率は高くなります。
2022年5月にオープンした当初はお客様への認知度が低く、開業当初は売上があがらなくてキツいときもありました。お客様がつく前の段階でお店が立ち行かなくなるケースが多いのですから、この苦しい時期を乗り切りやすいのは大変助かります。もちろん、すべて自己責任の世界です。
最近ではセラピストみんなの頑張り、そして当店を暖かく見守ってくれる常連の方々のお陰でお店がすこしずつもりあがっています。本当にありがたいことです。
お店がすこしずつ成長していくにつれてリラクゼーション・マッサージ業の経営とはどうすればいいのかということがおぼろげながら分かってきます。
いつか大きな壁にぶつかる時期は来ると思いますのでまだ分かったとは言えませんが一年前のヒヨコ状態よりは様々なノウハウを得ています。
経営者として学ぶことは共通している
フランチャイズのオーナーになるというのは、起業するということ、しかも人を雇う経営者になることですから、今までは経験することがなかった経営者としての様々な知識・経験を学ぶことになります。
企業勤めをしていると40くらいで大体中間管理職になるものですが、オーナーはそれよりはるかに高いマネジメントスキルが身に付きます。いや、身に付けないとすぐにお店がなくなってしまいます。
こうして現場で身に付ける経営の知識は、個別の施術に関する知識などリラクゼーションサロンでしか使えないものもありますが、経営で必要な知識は汎用性が実は高く、どんな業態の会社を経営するにしても必ず必要な税務・財務・人事労務などの知識も自然と身に付きます。
いくつか例を挙げてみましょう。
計数管理
例えば経営が1年経過して、ようやく毎月の計数管理などができるようになってきましたが、これはどのビジネスでも共通しています。現実的な売上の予測をたてて実際にどれくらいの売上になるかをチェックしていく習慣です。
利益状況のほかに資金繰りも大切です。お金が出て行ってから入ってくるのか、入ってから出ていくのかで随分と印象が違います。リラクゼーションサロンは基本的に入ってきてから出ていくので資金繰りはそこまできつくないですがそれでも、予想外の出費をする場合には支払時期に注意しなければなりません。
人事採用から教育
私も1年間経営してきた中で、スタッフの募集方法、面接の心がまえ、セラピストとして勤務するために必要な研修計画を立てること、できるのであれば助成金の申請手続きをすることなどを学びました。
ビジネスは人がすべてです。スタッフが一人もいないサロンは、一人分の施術しかできません。人が増えることで同時にたくさんのお客様を施術できるようになり、予約がとりやすくなるのでお客様の満足度も上がります。
スタッフ(セラピスト)の成長なくして、事業の発展はありません。モノを売る商売ではないリラクゼーションサロンではなおさら人への継続的な投資は欠かせないものです。
セラピストはマッサージが好きで、もっとセラピストとして成長したい、スキルを身に着けたいと考えています。
その気持ちをくみ取りながら、どうやって研修計画を立てていくかを開業当時よりも強く考えるようになりました。
人事労務手続き
また人を採用したら法令上求められる雇用保険や社会保険の手続きを行います。その他にも所得税税金の納付方法や、役所への届け出など多岐にわたります。これはほぼ私が開業前には知らなかったことばかりです。
開業したら、様々な手続きが必要になります。余談になりますが、様々な役所への申請手続き欄に代理人としての社会保険労務士の欄があるのを見るにつけ、社会保険労務士という仕事は需要があるんだなあと肌身で感じます。
会計、とくに経費の知識
日々の売上を会計帳簿を付けるのにも慣れてきましたし、会計の知識が身に付きます。
また、どうやったら日々の出費を経費として計上することができるか?ということを自然と考えるようになります。
経費にするには事業で使っていることを示すために細かくメモをとっておくことも大切です。このブログもその役割も担っています。
サラリーマンの時には収入から給与所得控除されたあとの所得を源泉徴収されていますので、工夫の仕様がないのですが、事業者は様々な工夫をすることができますので、知っているかどうか、それを実践するかどうかで大きな違いが出ます。
経営しているとお金を使う機会はスタッフよりも格段に多くなりますので、経費としてちゃんと計上できるスキルはある意味、必ず儲かるスキルと言えるでしょう。
基本的な数字は頭に入ってくる
また、会計帳簿の数字を確認しながら自分なりに大切な数字は頭に叩き込んでおくという習慣もできました。売上の金額は大体一日これくらい、主要な出費はこれくらいというような自分なりの相場が日々会計ソフトに記帳する中でできてきます。
飛行機のパイロットは飛行中ずっと計器を見て数値に異常がないことを確認していますが、経営者も計器を見ながら先行きを判断しています。
先月よりも順調に売上げは伸びているか。セラピストの個人成績に変化はないか、指名数は増えているかなど定期的に確認しています。
対人スキル
私はインドア派であまり人付き合いの範囲が広くないのですが、流石にオーナーをやっているとそういうわけにはいきません。
ヴィラ平和島店の中で起こっていることは普段常駐しているセラピストがいちばんよく知っています。普段からコミュニケーションを取っていないとセラピストからするとオーナーは遠い存在になって、あまり情報を教えてくれなくなり、結果として的外れな指示を出してしまい現場を混乱させてしまうかもしれません。
店舗の外部の話でも、助成金のようにこんなことがあるのか、今まで知らなくて損したという話はたくさんありますし、成功している他店舗のオーナー様と話をすることで真似できることがあります。
人とあってコミュニケーションをとる大切さが身に沁みます。
いまいくつか挙げてきましたが、一つ一つのテーマだけでもたくさん学ぶことがありますし、割愛したこともたくさんあります。いずれにしても、これらの経験・スキルはリラクゼーションサロンだけではなく、他の事業の経営にも共通して必要となるものです。
私がすぐに他の事業を手掛けるという事はありません。まだまだヴィラ平和島の経営に集中してやるべきことがあるからです。ですが、自然と他の事業を立ち上げるのに必要な知識・経験が身に付いていくのです。
次に他の事業を経営をするときには、フランチャイズ経営で身に付けた経営者の基礎的な力があがっているので、ゼロからの立ち上げでも動きや心理的な負担が違います。
金持ち父さん貧乏父さんで紹介されていたフランチャイズ
昔、大ヒットになった金持ち父さんと貧乏父さんという本がありました。
お金持ちになるにはどうすればいいか、というストレートな内容を書いたこの本は、表だってお金の話をすることは建前上避けているけれど、本音ではお金がとても大好きな日本人に大変ブームになりました。
この本の中で、著者のロバートキヨサキは、お金持ちになるためには、自分のポケットにお金を入れてくれる資産をもつことが大切である、そして資産というのは自分のビジネスである、と説いています。
フランチャイズは経営者の学校
そして、自分のビジネスを持つ方法として、一からの独立起業のほかフランチャイズ、マルチ・レベル・マーケティング(いわゆるアムウェイのようなネットワークビジネス)のいずれかの形式で自分のビジネスをもつことにより経営者としての勉強ができるという持論を説いています。
優れたフランチャイズシステムやネットワークビジネスは、強制的に経営者マインドへの転換を促し、経営に必要なことを学ぶことができる学校だというのです。
金持ち父さん貧乏父さんが流行した20年くらい前は、ふーんという感じで読み飛ばしていましたが、フランチャイズに加盟して経営者1年生を何とか乗り切って2年生になろうとしている今は、確かにフランチャイズ形式でビジネスを始めると経営者としての基礎知識を学ぶことになると感じています。
真剣度合いが違うからすぐに覚える
内容自体はどこでも学ぶことができるのかもしれませんが、経営を軌道に乗せるためにやらなければ会社がなくなってしまうというプレッシャーのかかる状況の中では、学びのスピードが違います。
いやらしい話、テスト勉強とは違って、経営者の勉強=お金儲けに直結します。このノウハウをフランチャイズだと効率的に学ぶことができます。
先ほどお話ししたような知識・経験のほか会社を成長させるには売上を増やしながら、経費をコントロールしていくスキルはもちろん、会社経営者として知っておかなければならない法律・お金の知識なども自然と身に付いていくのです。
私はよくセラピストに1年間で本当に見違えるように成長したなあと話していますが、私自身も経営者として、この一年で様々な知識・経験を積むことができました。
当店には現場をすべて任せることができる頼もしいセラピストがたくさんいますので、落ち着いた環境で考えることができています。雑多なことを書きましたが、経営者としてもっと良いお店にできるよう汗をかいて改めて頑張ります。