事業というのは、結局のところ「人」です。
どれだけ素晴らしい設備やマーケティング戦略があっても、それを動かすのは人であり、その人たちが共通の目標を持ち、同じ方向を向いて行動しなければ、事業は成り立ちません。
サロンを運営しているオーナーとして、私には店舗をこうしたいという明確な想いがあります。
それは、店舗がある地域のお客様に癒しの時間を提供すること、そして働くセラピストたちが手に職をつけ、自信を持って人生を切り開いていけるようにサポートすることです。
しかし、この想いを私一人で実現することはできません。そこで、セラピストたちに協力してもらいながら、店舗を運営していくことになります。
一度伝えたくらいでは伝わらない
経営者がやってしまいがちなミスの一つに、「一度話せば理解してもらえるだろう」と思ってしまうことがあります。
特に、オーナーが自分の理念や目標を明確に持っている場合、それを言葉にして伝えれば、そのままセラピストたちも理解し、実行してくれるはずだと考えてしまいがちです。
しかし、現実はそんなに甘くはありません。
オーナーさんならわかることですが、一度伝えたくらいでは、ほとんどの人は行動を変えません。人間は、それまでの習慣や考え方を変えるのに時間がかかります。特に、仕事に対する意識や行動を変えてもらうには、何度も繰り返し伝えることが必要です。
私の経験上、10回、20回、100回と伝え続けることで、ようやく少しずつ浸透していきます。
最初は理解されなくても、繰り返し伝え続けることで、やがてセラピストたちが「そういうことか」と腑に落ちる瞬間が来ます。
コミュニケーションの鍵は「頻度」
よく「質の高いコミュニケーションが大事」と言われますが、私はそれ以上に「頻度」が重要だと考えています。
どれだけ完璧な説明をしても、一度や二度の会話では相手の意識は変わりません。それよりも、定期的に連絡を取り続けることが大切です。
例えば、
- 週に一度、ミーティングをする
- 毎日、短いメッセージを送る
- 施術の様子を見て、すぐにフィードバックをする
といったことを意識するだけでも、大きな違いが生まれます。
特に、遠隔で店舗を管理している場合、物理的に現場に常駐することができません。そのため、細かくセラピストの動きを見て、適切なタイミングでフィードバックを与えることが重要です。
遠隔でも細かく見ることが大切
複数の店舗を経営していると、すべての店舗に常駐することは不可能です。しかし、それは「管理が行き届かなくなる」ということではありません。遠隔でも、細かくセラピストの動きをチェックし、必要なタイミングで適切なアドバイスをすることで、経営の質を維持することは可能です。
たとえば、
- 予約数やリピート率のデータを定期的にチェックする
- お客様からの口コミを確認し、良かった点・改善点をセラピストと共有する
- セラピストが書くブログやSNS投稿をチェックし、適切なアドバイスをする
といったことを意識することで、遠隔でもしっかりと店舗の運営をコントロールすることができます。
コミュニケーションを習慣化する
大事なのは、コミュニケーションを「特別なもの」にしないことです。たとえば、年に一度の大規模な研修よりも、日常的な短いミーティングの方が効果的です。
セラピストたちが「オーナーはいつも私たちのことを見てくれている」と感じられるような環境を作ることが、良いサロン運営につながります。
現場のセラピストの意見を聞く機会でもある
また、コミュニケーションの目的は、単に指示を出すことではありません。セラピストたちの意見を聞き、彼らが働きやすい環境を作ることも重要です。一方通行の指示だけではなく、双方向のコミュニケーションを意識することで、チームとしての結束力が高まります。
まとめ
サロン経営において、「コミュニケーションは量より頻度」という考え方は非常に重要です。一度話しただけで全てが伝わることはありません。10回、20回、100回と繰り返し伝えることで、ようやく組織に浸透していきます。
また、遠隔で管理している場合でも、データをチェックし、適切なタイミングでフィードバックを与えることで、質の高い経営を維持することができます。コミュニケーションを習慣化し、日常の中で自然に情報共有を行うことが、成功するサロン運営の鍵となるのです。
「人」がすべてのサロン経営において、コミュニケーションを大切にし、継続的に関わり続けることを忘れずにいたいと思います。