セクハラ・パワハラ等コンプライアンスに関する考え方が一般的に浸透する世の中になりました。
今から思えば、10年前、20年前はずいぶん時代が違ったなあという感じです。
時流を反映して、当店でも気を付けています。オーナーは自分が思っているよりもハラスメントの原因になりやすいので、気を付けています。ハラスメントは即退職につながります(笑)
この人材不足の中で私のハラスメントでやめるスタッフがいたら、それこそどうしようもない大馬鹿です。それ以外もできるだけ労働環境に気を付けています。
オーナーが気を付けることで、セラピストにとって働きやすい環境になります。
これはサロンに限らず、一般的にどの組織でもいえることです。
ですが、ハラスメント予防が浸透する時代は、周囲からアドバイスが受けにくい時代でもあります。
パワハラ・セクハラと、アドバイスは完璧に分けることが出来ません。
ある人にとっては、パワハラ・セクハラに感じることがある人にとってはアドバイスに感じるものです。時流に合わせてうまくハラスメントにならないように伝えることが出来る人もいますが、少なくとも伝え方はソフトに、弱くなります。
伝わるものも伝わらない言い方になっているかもしれません。私も知らず知らずのうちにそうなっているかもしれないなあと思います。セラピストにもよく言われるんですよね、もっとはっきり言っていいと思います、とか。
でも、これ以上強い調子でいうことは、昨今の情勢ではできないですね。
世の中のハラスメントといわれる行動は、あからさまなハラスメントに該当するものというより、どちらかわからないグレーゾーンにあるものがほとんど。
アドバイスはすべて誰かにとってハラスメントと受け止められる可能性を含みます。
私含め、昭和の怒られて育つ行動様式が出来上がってしまっている中年の人以降にとっては、知らず知らずの行動がハラスメントに該当しうることを自覚しています。
中高年にとって自分の行動を変えてまで、アドバイスをするというリスクをとるのは面倒なので、必要以上にかかわらないようになります。
合理的に行動すれば、何も聞かない、アドバイスをしないのが賢いのです。
ハラスメントに該当することをしたら一発アウト、逆にアドバイスをしなくても特にデメリットはない(組織全体としては長期的にはデメリットがありますが)。そういう報酬のゲームをするとしたら、「余計なことは言わないでおこう」という行動をとるのが正解になります。
アドバイスをしてくれたとしても「自分はこう思って、こう行動している」という話にとどまるはずです。それ以上はハラスメントの可能性を含みますから誰も言いません。
人のアドバイスを見聞きして自分なりに消化して行動するしかありません。
セラピストでいえば、うまくなるためには、業務時間外でもひたすら手順を覚えるまでやったほうがいい、自主練に出てきてやったほうがいい、身体のことについて常に学ぶべき、自分でどんどん外部の研修にも出ていったほうがいい。
ですが、このご時世、職場の人はそんなアドバイスは言わないでしょう。私もいいません。
オーナーから言うと、業務命令なのか、そうでないならサービス残業をさせるのか。休日出勤をさせるのか、休憩時間はどうなるんだ、という話になっていくからです。
あうんの呼吸でやってもらうというのもできない時代ですし、いろいろリスクがあります。
オーナーの立場に立てばわかることですが、もはや、オーナーからは働いてくれる人に強く何も言えない時代なのです。やる気のある人にはサポートをする、ぐらいです。馬を水辺につれていくことはできても、水を飲ませることはできません。
だから、仕事の時間に頑張ってくれればそれでいいです。その状況で店舗利益が出るようにするのが私の仕事=経営です。
ただ、成長する人は、業務時間外に自分で考えて成長する行動をとっています。
プロ野球の選手を例に出してみれば、コーチの指導にあわせて練習することはもちろんですが、自分でどのように成長するのかを考え抜いて鬼のような練習量を自分でこなしています。
言われた通りのことをしているだけでは一軍で勝ち残ることはできません。
プロ野球のたとえは厳しい競争社会の例で、普通の人には当てはまらないと思うかもしれませんが、本質は同じです。
人の振り見て我が振り直せ、一を聞いて十を知る、ができる人にとっては、余計なことを言われないのでいいのですが、それができない人には成長するのが難しい時代になりました。
誰も親身になって、本当のことは言ってくれません。かといって、ネットには本質的なことは書いていません。
先ほど言った通り、ハラスメントを撲滅すればするほど親身にアドバイスをする人が格段にへっていきます。自分で考えて行動していくしかありません。
おまけに世界的に見ても日本人の労働時間はどんどん短くなっています。
誰もアドバイスをしてくれない、経験を積む時間も少ない。
この時代、自分自身がプロフェッショナルになって成長するという意識がないと、成長できない時代になったのです。言われたことをこなすことが仕事と考えている普通の人にとっては厳しい時代です。
なお、オーナーは別です。自分で行動しないと、すぐに仕事がなくなります。
誰からも命令をうけませんので、本当に自分で自分のことを反省して行動していかないと、お客様・セラピストからそっぽを向かれて売り上げが減少し、お店をたたむことを余儀なくされます。
本当のことはだれも言ってくれず、事業環境を見ながら常に変化していないとすぐにお店はなくなってしまいますので、自然に鍛えられます。
元に戻ってスタッフの話ー自分で考えて行動するタイプの人ではない場合―厳しい時代になりました。人からアドバイスはうけられないものとして、自分自身でアドバイスを感じ取り、行動するしかないのです。
もし、それでもアドバイスをもらえる環境であれば、この時代、そんなにありがたいことはないのです。