オーナーのつぶやき

採用したセラピストが辞めることを恐れるな

サロン経営をしていると、段階ごとに悩みが変わっていきます。特に人の悩みが8割以上を占めるでしょう。

お客様の集客は次第に積み重なっていきます。様々な理由でご来店いただけなる人もいますが、口コミの広がりもありますし一定数のお客様は増えます。

ところが、セラピストの数には限りがありますし、口コミでセラピストの採用が増えるなんてことはありません。すぐ採用できるかというとそうではありません。折からの人手不足もあって、すぐに採用なんてできません。応募すら来ないよ、、ということで悩まれている方も多いと思います。

来てくれたら安心できません。せっかく来てくれたセラピストの卵。頑張るといってくれている。人柄もよさそうだ。

ですが、研修をはじめると残念ながら面接の期待感の通り頑張ってくれるかはわかりません。

社風が合わないのか、セラピストという仕事が向いていないのか(想像以上に体力を使う仕事なのです)、来てくれても合わない職場ということで辞めてしまう人も多いです。

セラピストがスタッフとして定着してくれるまでにいくつもの関門があるというのが現状です。

最初は「どうすれば応募が増えるのか」と頭を抱え、応募が増えて採用できるようになると、次は「どうやったら長く続けてもらえるのか」と悩むようになります。

特に研修中に辞めてしまう人が多いことは、多くのオーナーが共通して経験する課題ではないでしょうか。私の実力不足でいまだにこの問題では頭を悩ませています。

面接では見抜けない

こう書いてくると、「続く人だけを採用したい」と考えるのは自然ですが、これは現実的に難しいことです。
なぜなら、面接という場では応募者は必ず良い面をアピールするからです。

限られた時間で本心や適性を見抜こうとするのは限界があり、実際に働いてみなければわからない部分が大半を占めます。

したがって、面接の段階で「絶対に続ける人だけを採用する」という発想自体が非現実的です。

辞める人が出るのは「前提」

採用して間もない段階で辞める人が出るのは、セラピストという業界の構造上も避けられないことです。

お客様の立場で施術を受けるのと、自分で施術をするのは大きな違いがあります。特に未経験者はそのギャップが大きいので、思ったはずではないということでやめていきます。

・家族の都合で働けなくなった

・雇用形態があわない

・技術が思うよう身につかない


「せっかく採用したのに…」と落ち込むこともありますが、それはオーナーの責任というより、人の価値観や状況の変化に過ぎません。辛いところではありますが、そういうものだ、と考えたほうが精神衛生上いいと思います。

むしろ恐れるべきは「辞めること」そのものではなく、辞めることを恐れて採用に消極的になることです。

辞める人が多いといっても、そのなかにキラリと光るセラピストがいるものです。その人を探すためには、何人も採用して、何人も辞めてというプロセスを繰り返さないといけません。

法令順守するサロンであれば残る人は多くなりますが、それでもやはり辞める人は辞めます。技術職ですから、デスクワークの従業員とは全く違うのです。

それでも信じて採用を続ける。オーナーはその気持ちの強さが問われます。

注力すべきは「残った人」

そして重要なのは、辞める人の存在に気を取られるのではなく、残ってくれた人材にエネルギーを注ぐことです。

新規採用はとても時間がかかりますし、手間もかかります。


教育・研修制度を整え、現場で安心して力を伸ばせる環境を提供する。結果として残った人は、時間をかけるに値する存在であり、サロンの成長の軸になってくれます。

スタンダードを下げすぎない

辞めてしまうからといって求める技術を低くするのも問題です。最初は仕方がないかもしれませんが、スタンダードを下げると、それが当たり前になってしまいます。

自分が常駐しているのであればリカバリが効きますが、現場に任せているのであればスタッフの質がサロンの雰囲気を決めます。

経営者に求められる視点

採用とは投資であり、必ず一定の「離職リスク」を内包しています。
だからこそ、一人ひとりの辞退や退職に一喜一憂するのではなく、「残った人を育て、土台を強くする」という発想に立ち返る必要があります。

本当につらいのですが、これは人繰りの厳しい零細企業であればどこも同じでしょう。あとはどうやってコアの部分以外(サロンであれば施術)アウトソーシングして経営を安定させていくか。

経営とは、不確実性を前提とした上で舵を取ること。採用においてもその原則は変わらないのだと感じます。

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