日々サロンの運営をしていると、「もっと専門的に理解したほうがいいのでは?」と思う瞬間があります。研修の様子を見たり、セラピスト同士の技術的な会話を耳にしたりすると、なーんにもしらないなと改めて思い知らされます。
でも最近、「オーナーは素人であり続けるべきだ」と改めて感じています。
専門家だからこそ見えなくなる視点がある
当店では研修をセラピストにお願いしています。
毎日施術をして、日々腕を磨いている彼女たちには、もちろん専門的な視点があります。こだわりもありますし、技術が高くなるほど細部への要求も自然と増えていきます。
ただそれは同時に、「お客様の気持ちよさを素直に感じる視点」から一歩離れてしまうことでもあるのだと気づきました。
私たちは一度知ってしまったことを、知らなかった頃の感覚に戻すことができません。
これはセラピストであればなおさらでしょう。「プロのセラピストとしての視点」と「お客様としての視点」はどれだけ意識しても完全には両立しません。
そのギャップに気づいたとき、オーナーである私の役割がわかりました。
お客様の心地よさは、素人基準で判断すべき
施術を受ける側の立場、そのままの視点でサロンを眺めること。
良い意味で「専門知識がないからこそ」、自然体で判断できることがあると感じています。
「なにが気持ちいいのか?」
「どこに不安を感じるのか?」
「どの瞬間に安心できるのか?」
これは、お客様と同じ受け手の視点を持つオーナーにしか見えない景色なのだと思います。
セラピストの細かな技術議論は正しいことばかりですし、その積み重ねが彼女たちの成長を支えています。でも、だからこそ私はあえて専門に踏み込みすぎず、一般のお客様に近い立場でいたいと感じています。
とくに入口のところでの判断は、素人の判断でいいと思います。
オーナーが素人であることは、サロン全体のバランスを保つ
経営にはいくつもの視点があります。
技術的な正しさ、働きやすい環境、お客様の満足度、売上、仕組み化…。
その中で「技術」をセラピストに任せるのであれば、オーナーの私は技術について、別の観点から見続けなければなりません。
素人視点を持っているからこそ、技術に偏らないサロン運営ができます。
素人である自分だからこそ、セラピストのこだわりと、お客様の期待の間に立って、調整することができます。
そして何より、私が専門家になってしまえば、サロンはひとつの視点に偏ってしまいます。
お店を訪れてくださるお客様の視点は、素人にしか持ちえません。全体のバランスを保つためにも、オーナーが「素人である勇気」を持つことはとても大切だと感じています。
素人視点を常に持つ
私はこれからも、技術の細部には踏み込みすぎず、「お客様にとってどうか?」という視点を大切にしていきたいと思います。
セラピストが技術のプロであるなら、
オーナーは お客様の気持ちによりそっていたい。
そんなふうに感じています。
それは、他の業界でもサービスを受けることかもしれません。
専門性が高まるほど見えなくなるものがある。
素人だからこそ見えるものがある。
その両方がそろったとき、サロンはもっと良くなる。
最近、そんな確信を持つようになりました。
これからも、あえて素人であり続けながら、よりよいサロンづくりに取り組んでいきたいと感じています。
