未分類

「そんな話は聞いていません」をなくしたい

リラクゼーションサロンを経営していると、本当によくあるのが「言った・言わない」の話です。

「そんな話は聞いていません」

「いや、面接のときに説明しました」

「そこまで大変だとは思いませんでした」

こういう話は、決して珍しくありません。

ただ最近、これは働く側だけの問題ではないなと思うようになりました。

むしろ経営する側が、もっとしっかりと「働く前のイメージ」と「実際に働き始めてからの現実」のギャップを埋めなければいけないのだと思います。

リラクゼーションは、どうしても「人」が必要な仕事

リラクゼーションサロンの仕事は、決して楽な仕事ではありません。

 

そもそも労働集約型のビジネスです。

情報ビジネスであれば、一度作ったものを100人、1,000人、1万人に販売しても、身体的な負担はそれほど増えません。

しかし、施術は違います。

60分の施術を提供するためには、基本的にはセラピストが60分、そのお客様と向き合う必要があります。

どこまで効率化しても、人が人に施術するという部分だけはなくすことができません。

だからこそ、決して簡単に稼げる仕事ではありません。

AI時代だからこそ「人の手」の価値は上がる

一方で、私はこの仕事には、これからますます価値が出てくると思っています。

生成AIが発展して、今まで価値があると思われていた仕事の一部は、急速にコモディティ化しています。

少し前までなら、「1日で1万字の記事を書けます」と言えば、それだけでも一つの価値になりました。

今では生成AIを使えば、大量の文章を作ること自体は誰でもできるようになっています。

もちろん、一般論を並べただけのAI文章というのは読めばだいたい分かります。

なぜかアスタリスクが大量に残っていたりして、「これは生成AIだな」と分かる文章もよくあります。

それは余談ですが、少なくとも「文章を大量に作る」というだけでは差別化しにくい時代になったことは間違いありません。

その点、リラクゼーションの仕事は全く違います。

地域のお客様を相手にして、人が人に触れ、身体をほぐし、会話をし、その時間そのものを提供する仕事です。

どれだけAIが発展しても、人の手の温もりまでなくなるとは私は思いません。

むしろ、デジタル化が進めば進むほど、こういう「人にしかできない仕事」の価値は上がっていくのではないかと思っています。

そして、セラピスト自身にも技術が残ります。

施術技術も、接客も、お客様を見る力も、経験として自分の身体に蓄積されていきます。

これはこの仕事の非常に大きな魅力です。

ただし、未経験から始めるのは大変です

ただし、魅力があることと、最初から楽にできることは別の話です。

特に未経験者にとって、最初の数ヶ月はかなり大変です。

覚えることが多い。

技術を身につけなければならない。

身体も疲れる。

接客もしなければならない。

当然、研修マニュアルはあります。

当店もフランチャイズですから、研修の仕組みやマニュアルはかなり整っています。

それでも大変なものは大変です。

何か一つの技術を身につけるというのは、本来そういうものだと思います。

「リラクゼーションが好き」と「仕事にする」は違う

ところが、ここに大きなギャップが生まれます。

「リラクゼーションが好きだから働いてみたい」

「人を癒す仕事がしたい」

「自分もマッサージが好きだから向いていると思う」

もちろん、そう思って応募してくれることはありがたいことです。

ただ、サービスを受ける側と、サービスを提供する側は全く違います。

実際に働き始めると、

「こんなに覚えることがあると思わなかった」

「こんなに身体を使うと思わなかった」

「思っていた仕事と違った」

となってしまうことがあります。

私自身、これまでいろいろな人を見てきましたが、意外と「癒しが好きだから」というだけで入ってきた人より、

「技術を身につけたい」

「自分でお客様を増やしたい」

「もっと稼げるようになりたい」

くらいの人の方が続くことがあります。

もちろん全員がそうだという話ではありません。

ただ、この仕事は待っていれば誰かが成長させてくれる仕事ではありません。

技術職ですから、最後は本人が練習し、経験し、考えながら上達していく必要があります。

採用では「良いこと」だけを伝えない

だから採用で大事なのは、夢を見せることだけではありません。

むしろ、現実をきちんと伝えることだと思っています。

これまで当店でも、面接時にはいろいろ説明してきました。

仕事内容も説明する。

勤務条件も説明する。

研修についても説明する。

それでも口頭だけでは、どうしても残りません。

一度説明しただけでは、本人も緊張していますし、全部覚えているわけではありません。

そして後から、

「聞いていない」

「そんな意味だと思わなかった」

という話になってしまう。

契約書とは別に「重要事項」を文章にする

 

そこで今、採用時の重要事項をきちんと文章にしようと考えています。

もちろん労働契約書はあります。

給与、勤務時間、休日、雇用期間など、労働条件を書く書類です。

しかし、それとは別に、

「この仕事はどういう仕事なのか」

「最初はどんなことが大変なのか」

「私たちはどんな考え方で店舗を運営しているのか」

「一人で働くのではなく、チームで店舗をつくっていくとはどういうことなのか」

ということもしっかり文章にする。

言ってみれば、理念やマインド、仕事に対する考え方まで含めた「重要事項説明書」のようなものです。

これは店を守るためだけの書類ではありません。

働く人を守るためでもあります。

入社してすぐ辞めるくらいなら、採用前に辞退してもらった方がいい

入社して1ヶ月、2ヶ月経ってから、

「思っていた仕事と違った」

となるくらいなら、採用前に知ってもらった方がいい。

それを読んで、

「自分には合わないかもしれない」

と思ったのであれば、そこで辞退してもらって構わないと思っています。

むしろ、その方がお互いに幸せです。

人を採用するとなると、どうしても「入ってほしい」という気持ちが強くなります。

人手不足ならなおさらです。

だから都合の悪い話を薄めたくなる。

大変なことはあまり言わず、魅力的な部分だけ伝えたくなる。

でも、それをやれば結局あとで歪みが出ます。

早期退職されれば、本人も大変です。

教えたスタッフも疲れます。

店も採用と教育を最初からやり直さなければいけません。

誰も得をしません。

それでも「やりたい」という人と働く

 

だったら最初から全部伝えればいい。

良いところも伝える。

大変なところも伝える。

それでも、

「私はこの仕事をやりたいです」

と言ってくれる人と一緒に働く。

その方が、長い目で見れば強い組織になると思っています。

採用というのは、人を入れることがゴールではありません。

その人が働き始めた後に、

「聞いていた仕事と同じだった」

と思ってもらえることの方が大切です。

そのためには、一回説明して終わりでは足りません。

求人を見る。

応募する。

面接で説明を聞く。

書類を読む。

もう一度確認する。

それでも本当にやりたいのか、自分自身で考えてもらう。

そうやって何度もプロセスを重ねる。

私は今、それが採用ではとても大切なのではないかと思っています。

「言った・言わない」をなくすことは、お互いのため

せっかくリラクゼーションという素晴らしい仕事を志してくれた人です。

だからこそ、曖昧なまま働き始めてもらいたくありません。

良いことも、大変なことも、最初からきちんと伝える。

「言った・言わない」をなくす。

そして、それでもこの仕事をやりたいと思ってくれる人と働く。

遠回りに見えますが、それが結局、一番長く続く店をつくる方法なのだと思います。

予約サイト