人が少ない時の近さという強み
今日は「店舗が成長するとオーナーが冷たくなる」という話をしたいと思います。
少し言い方は独特ですが、要は距離感が変わるということです。
創業当初は、スタッフも2人、3人です。
私もそうでした。
セラピストとの距離はとても近くて、日々の会話も多く、細かいフォローも自然とできていました。お互いの状況も手に取るように分かるので、個別対応も問題なく回ります。
このフェーズは、とてもやりやすいですし、温かい空気感もあります。
ただ、これは人数が少ないから成立している状態でもあります。
最初はそれでもいいのですが、やはりヴィラは多数のセラピストさんが勤務して成り立つビジネスである以上は、2~3人以上のスタッフを雇用して店舗を運営していかないといけないのでいつまでも人数が少ないままではやっていけません。
人のマネジメントに慣れたら人を少しずつ増やしていく必要があります。
人が増えるとルールがすべてになる
スタッフが増えてくると、状況は一変します。
10人、15人、20人と増えていく中で、全員に個別対応することは物理的に不可能になります。
ここで必要になるのが「ルール」です。
働く際のルール、シフトの入れ方、研修の進め方、インセンティブについて。
誰に対しても同じ基準で、同じ運用をすること。これが公平性を生みます。
もし人によって対応を変えてしまうと、その場はうまくいっているように見えても、必ず歪みが出ます。特別扱いは、いずれ他のスタッフに伝わりますし、逆に不信感につながります。
だからこそ、ルールで回す。
そしてルール通りに運用する。
優しい言葉や個別の気遣いも大事ですが、それ以上に大切なのは「ブレない仕組み」です。
いくら優しくても、ルール通りの勤務形態を守ってくれない、給料を払ってくれないオーナーはそのうちはなれていきます。
ここに気づくと、経営の考え方が大きく変わります。
コミュニケーションより仕組み
人が増えてくると、「もっとコミュニケーションを取らなければ」と思いがちです。もちろん、それ自体は間違いではありません。
ただ、優先順位でいうと、まずは仕組みです。
オーナーが現場にいなくても回る状態を作ること。
ここができていないと、コミュニケーションで補おうとしても限界があります。逆に、仕組みが整っていれば、最低限のやり取りでも現場は安定します。
結果として、オーナーの発言量は減っていきます。必要な連絡は取りますが、個別にケアしようと思っても物理的にできないので、時々でいいのです。
あとは、余計なことを言わない、細かく介入しない。セラピストが見ているのは、オーナー自身も、セラピスト同様にさだめられたルール通りに仕事をしてくれるかどうかです。
一見すると「冷たくなった」と感じられるかもしれませんが、実態はその逆で、全体最適を優先している状態です。
黒子に徹するオーナーの役割
最初はいい人になろうとするでしょう。セラピストに嫌われたくないという気持ちはわかります。でも、いい人になっても、店舗では続きません。
もちろん無理に働いてもらうということではなくて、働き方の希望に応じて適切な形で勤務形態を用意することも大切です。
複数店舗を運営していく上で大切なのは、「自分がいなくても回る状態」を作ることです。
そのためには、ルールを作り、仕組みを整え、あとは現場に任せる。
オーナーは前に出るのではなく、裏側で支える“黒子”に徹する必要があります。
私自身、個別に対応しようと頑張って、スタッフが増えては減るという経験を何度もしてきました。
今考えてみると、やめてしまった方々は、私の安定しないやり方に愛想をつかしていったのでしょう。
安定していて公平なルール仕組みが弱いと、人は定着しません。逆に、仕組みがしっかりしていれば、安心して働ける環境になります。仕組みが回り始めた店舗にはオーナーがいつもいる必要はありません。むしろいないほうがいいです。
そして、その考え方、店舗の雰囲気に共感してくれる人を採用していく。
これが安定した組織づくりにつながります。
表の世界、つまりお客様に対するサービスは、ある程度自由度を持たせる。
一方で、裏側は徹底的にルールで固める。
このバランスこそが、成長する店舗に必要な形だと思います。
オーナーはお店が成長すると少し冷たくなる。
でもそれは、組織として強くなるために必要な変化です。
これからも黒子として、仕組みづくりに徹していきたいと思います。
