事業をしたことがある人にはわかることなのですが、儲かるかどうか以外に、大切なのが資金繰りです。資金繰りが大変なビジネスモデルの一つに物販があります。
物販ビジネスの場合、先に仕入れ資金を用意して商品を購入します。その後、商品が売れてやっと売上が入る形です。
商売を続けていく限りは、常に仕入れをしなければなりません。儲かったと思っても、仕入れた商品の価値は常に下落するため、鮮度を保って売り切らなければ「以外に儲からない」ということになりがちです。
成長していく過程では仕入れ量を増やすことになりますので、儲かっているのにお金が残らないという形で、資金繰りが厳しくなることも少なくありません。
一方、リラクゼーションサロンでは、基本的にお客様からの施術料金をその場でいただく形なので、先行投資が大きく必要ない分、キャッシュフローは比較的安定しやすいと言えます。
ただし、そこから先は給料や家賃、水道光熱費、システム利用料、社会保険料などを毎月支払っていく必要があります。
毎月の主な支出項目
- 給料
セラピストやスタッフへの給与。人件費はサロンの経費の中でも大きなウェイトを占めます。 - 家賃
店舗の家賃。立地や広さに応じて金額が変わるので、開業前から注意が必要です。 - 水道光熱費
電気・ガス・水道など。お客様の快適性を保つため、冷暖房費がかさむことも多いです。 - システム利用料
予約システムや決済システムなどのサブスク料。これらを便利に使うほど月額費用も発生します。 - その他経費
施術ベッドやタオルのクリーニング、消耗品購入、宣伝費など。 - 社会保険料
オーナー自身や従業員の健康保険・厚生年金など。 - 税金関連(後述)
どれも毎月必ず出ていくお金なので、売上が入るペースにあわせて計画的に資金を確保することが大切です。
税金を甘く見ると痛い目に
ここで忘れてはいけないのが消費税・所得税などの税金です。
- 従業員は、給与の段階で所得税や住民税が天引きされているので、手取り金額だけ把握していれば問題ありません。
- オーナーは、自分の口座に売上が入ってきたあと、後で税金をまとめて支払うことになるケースが多いです。
「経費にすれば節税できる」と言われますが、安易に経費を使いすぎると、最終的にキャッシュが残らなくなる恐れがあります。税金の支払いは年に1~2回(消費税や所得税の納付時期)なので、あらかじめ資金をプールしておかないと、いざ支払う段になって「現金が足りない!」となりかねません。
節税と経費のバランスを考える
経費を多く計上すれば、見かけ上の利益は減り、税金の額は下がります。しかし、経費はあくまで“出ていくお金”ですから、使いすぎれば手元資金が減ってしまうというリスクも。
- 本当に必要な投資や経費なら積極的に使うべき
- 「節税になるから」と安易に散財すると、後々資金繰りで困る
というバランス感覚が大切です。特にサロンのオーナーは自由度が高いぶん、しっかりと計画的にお金を管理しないと、いつの間にか銀行残高が寂しくなってしまうことも珍しくありません。
まとめ:入金が先のメリットを活かし、税金にも注意を
- リラクゼーションサロンは、仕入れが少ない分だけ資金繰りが比較的楽
- しかし、人件費や家賃、税金など、必ず支払う必要がある経費を計画的に管理する必要がある
- 従業員は給与天引きだが、オーナーは後からまとめて払う税金などに要注意
- 経費を使いすぎると「節税」に見えても手元資金が残らず、結局苦しくなる
リラクゼーションサロンのオーナーとして大事なのは、常にキャッシュフローを意識することです。入金が先だからこそ、自分のお金のように気軽に使うのではなく、毎月・毎年必要な支出を見越しておく。そうすることで、サロン経営を安定させることができるはずです。