前回は、スタッフ一人ひとりの過去のデータを「点」ではなく「線」で見えるようにする、という話を書きました。
今月の売上はいくらだった。
指名は何件だった。
という一つひとつの数字だけではなく、
「入社してから今まで、どう成長してきたのか」
を見えるようにする。
そして数字という共通言語があることで、スタッフとも、より納得感を持って話ができるようになる。
そんな話でした。
今回は、そこからもう一歩進めてみます。
数字だけでガチガチに管理したいわけではない
最初に言っておくと、私は何でもかんでも数字で管理して、スタッフを数字でガチガチに縛りたいわけではありません。
お店の雰囲気だったり、お客様との関係だったり、スタッフ同士の関係だったり。
数字では表せないことも、もちろん大切です。
ただ、スタッフから、
「もっと売上を上げるには、どうしたらいいですか?」
「どうしたらインセンティブが増えますか?」
と聞かれたときには、やっぱり根拠を持って答えてあげたい。
「もっと頑張れば上がるよ」
だけではなく、
「これまでのあなたの数字を見ると、こうすればこのくらい上がる可能性があります」
と具体的に伝えられる。
そのために数字を使うのは、とてもいいことだと思っています。
過去が分かれば、今月の着地点も見えてくる
そして、データを蓄積していくと、さらに面白いことができるようになります。
それが、
「あなたは今月、このくらいになりそうですよ」
という見通しを出すことです。
もちろん、実際の売上や給与は働いてみなければ分かりません。
毎日のお客様の入り方も違いますし、指名数だって変わります。
でも、過去のデータがあります。
その人の平日の平均売上。
土日祝の平均売上。
出勤日数。
指名数。
これまでの実績。
そういった数字が蓄積されていれば、今月の勤務予定と組み合わせて、
「いつも通りなら、今月はだいたいこのくらいになりそうです」
という数字は出せるわけです。
「今月いくらになるんだろう?」が事前に分かる
これって、小さいようで結構大きな変化だと思っています。
今までは、
「今月これだけ働いたけど、結局いくらくらいになるんだろう?」
ということが、月末になって集計してみないと分かりませんでした。
特に売上によってインセンティブが変わる仕組みだと、なおさらです。
でも、月の初めの段階で
「今月の勤務予定とこれまでの実績なら、このくらいの売上になりそうです」
「このペースなら、このインセンティブのラインに届きそうです」
「あとこれくらい売上が増えると、次のラインに届きます」
ということが分かれば、本人もかなり見通しを持ちやすくなります。
もちろん予測なので、絶対ではありません。
でも、
「分からない」と「だいたい分かる」の差は大きい。
私はそう思っています。
お店全体では、すでに同じことをやっている
考えてみれば、経営では昔から似たようなことをやっています。
会計の世界には「財務会計」と「管理会計」という考え方があります。
過去に実際どうだったのかを見るだけではなく、その数字を使って、
「来月はこれくらいになりそうだ」
「このままいけば半年後はこうなる」
と経営判断に使っていく。
店舗全体については、私もある程度やってきました。
スタッフ数が大きく変わらず、営業時間や価格などの条件も同じであれば、
「来月はだいたいこのくらいの売上になるだろう」
というのは、過去のデータからある程度見えてきます。
だったら、それを店舗全体だけでなく、スタッフ一人ひとりにも落とし込めるんじゃないかと思ったわけです。
「過去→現在→未来」が一本につながる
ここまでできると、データの見え方が変わってきます。
今までは、
「先月はこれだけ売りました」
という過去の結果だけでした。
それが、
今までどう成長してきたのか。
今、自分はどの位置にいるのか。
そして、この調子なら今月どうなりそうなのか。
というところまで一本につながってきます。
グラフを見れば、今までの成長が線になって見える。
そして、その線の少し先に、
「今月はこのあたりになりそうです」
という予測も見える。
これはスタッフにとっても、結構安心感につながるんじゃないかなと思っています。
AIで「予測」まで身近になってきた
こういうことは、以前だったらかなり大変でした。
一人ひとりの過去のデータを集めて、勤務日数を確認して、平均を計算して、予測を出して……。
毎月全員分を人力でやっていたら、それだけで相当な作業になります。
でも今は、正確なデータさえ取れるようにしておけば、その先の計算や集計はAIやプログラムに任せることができます。
私はここが、AIによって大きく変わっていく領域の一つだと思っています。
AIというと何かすごいことをやらせようと考えがちですが、実際には、
今まで「やった方がいいけど、手間がかかるからできなかったこと」を、普通にできるようにする。
そこに大きな価値があるんじゃないでしょうか。
過去の頑張りを見えるようにする。
現在地を数字で確認する。
そして、今月の未来を少しだけ見えるようにする。
これを毎月、特別な労力をかけずにスタッフ一人ひとりに返していく。
そんな仕組みに、これから少しずつ育てていきたいと思っています。
